様々なキャリア~目標とする働き方~

独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO) 【近畿四国地区11病院】

業種 病院
2023年取材記事
個々の患者さんの背景や思いまで汲み取り 適切な処方設計に貢献したい。
私のCAREER 緩和薬物療法認定薬剤師
資格取得

与えられたポジションに真剣に向き合い、信頼を獲得

 現在でこそがんサポートチームの主軸メンバーとして、また緩和ケア病棟薬剤師として活動をしていますが、入職当初から化学療法や緩和ケアに興味や知識を持っていたわけではありません。携わるようになったきっかけは、がんサポートチームに薬剤師が交代で参加していて、私の順番が回ってきたというだけのものでした。前任者から引き継ぎを受けたものの、回診やカンファレンスでもあまり発言できず、知識不足を痛感し、「このままではいけない」と奮起。専門書を手当り次第に買い込み、また緩和に関わる勉強会、学会、研修にも積極的に参加し、「カンファレンスで必ず1回は発言する」ことを自分に課すなどしました。その結果、少しずつ発言回数も増え、内容も的を射たものになり、チームのメンバーからの信頼も得られるようになりました。  緩和ケアの難しいところは、たとえ同じがん種であったとしても、痛みの原因も異なり、かつ何を優先させたいかという患者さんの思いによっても処置が異なるところ。個々の患者さんの背景や思いまで汲み取った上で、処方設計することが求められます。麻薬製剤の種類による違いや、投与経路による作用・副作用の差や、相互作用など、細部まで正確に理解している医療スタッフは意外と少なく、私の提案にも真剣に耳を傾けてくれ、頼りにされていると感じ、やりがいも増していきました。

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2022年取材記事
患者さまが安心して抗がん剤治療を受けられる 治療品質の向上を目指して。
私のCAREER がん薬物療法認定薬剤師
資格取得

治療方針の監査や 最適なレジメン提案に取り組む

 初めて担当した病棟で、医師から「この患者さまの抗がん剤治療を次のレジメンに移行しようと思うけど、その場合、標準レジメンは何になる?」と問われ、衝撃を受けました。それまでレジメンの選択は医師が行い、薬剤師は患者さまに説明をするだけと思っていたのですが、医師と共に治療方針を確認したり、最適なレジメンを提案することも薬剤師の仕事なのだと、改めて気付かされました。それを機に、「大学病院や専門病院にも負けない治療品質を目指そう」と奮起。ガイドラインを再度しっかりと読み込み、薬剤師向けのものだけでなく、研修医向けの「レジデントマニュアル」なども参考にするなど、勉強にも一段と熱が入るようになりました。また、治療方針の監査や、患者さまの副作用の状況や生活スタイルに合わせた処方提案など、自分から積極的に医師に働きかけるように心掛けました。  さらに、先輩と共に内服抗がん剤の外来患者さまへのフォロー体制構築にも着手。外来でも点滴による抗がん剤の場合は、初回は入院して行うため、服薬指導ができていたのですが、内服薬のみの場合は入院しないため、それまで介入できていなかったのです。「副作用を最小限に抑えて、効果を最大限に発揮できるようにサポートするのが、がん治療に関わる薬剤師の仕事」という信念のもと、外来での症例を集め、まずは外来がん治療認定薬剤師の資格を取得しました。

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2017年取材記事
未来と目の前の患者さんを救うために 資格取得の努力や、臨床研究を続けていきたい。
私のCAREER 日本医療薬学会 がん専門薬剤師
資格取得

資格取得で院内外に 広がる活躍ステージ

 私ががん領域に大きな関心を抱くようになったのは、30歳を過ぎた頃に、ある患者さんと出会ったことがきっかけでした。まだ20歳代の未来ある女性が、急性骨髄性白血病と診断され、すぐに造血幹細胞移植を行ったのですが、様々な合併症が生じてしまい、壮絶な状況が続きました。苦しむ姿を前に有効な対策を提供できず、かける言葉もなく、ただただ無力感に苛まれました。  この経験を通じて、「今まで以上に専門的な知識を持って、患者さんの前に立ちたい。一緒に戦える薬剤師になりたい」との思いを強くし、臨床能力を高めるべく、より自己研鑽に励むようになりました。そんな折りに、ちょうどがん専門薬剤師の認定制度もスタートし、挑戦することを決めたのです。研修では、モチベーションが高い他の研修生とともに、学術的な研究に取り組み、特に文献リサーチのスキルは格段に進歩したと思います。問題が発生した際に、あらゆる角度から検討し、科学的に考える力を養うことができ、今につながる基盤となっています。  その後、がん指導薬剤師のほか、最近になって外来がん治療認定薬剤師の資格も取得。これらの資格を活かして、化学療法を行う患者さんを対象にした薬剤師外来を立ち上げたほか、化学療法委員会や研修会などを通じて院内全体に専門知識を広める活動や、臨床研究にも継続的に取り組んできました。現在までに学会発表は48回、学術論文は18編、うち7編は英文雑誌への掲載で、世界に通じる臨床成果を上げていると自負しています。こうした発表がきっかけとなり、ある大学病院の医師から、発表した抗がん薬の多剤併用制吐療法について「自院でも使用したいので詳しく教えてほしい」と手紙を頂いたこともありました。

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2022年取材記事
患者さまや他職種に有益な情報を しっかりとフィードバックできる薬剤師へ。
私のCAREER 7年目
次世代を担う薬剤師

他職種も交え多様な視点から 患者さまにアプローチ

 医師や看護師など他職種と一緒に働く中で、多様な視点から患者さまにアプローチできることに魅力を感じ、病院への就職を志望。診療科が揃っていて、調剤、病棟のどちらの業務も行えること、さらに地域の中核病院であることから、幅広い知識を身に付けられると思い、当院への入職を決めました。  入職後、最初の1年間は徹底して調剤の基本を学びました。当院ではプリセプター制度を導入しており、先輩がマンツーマンで付いて丁寧に指導してくれました。初めて1人で当直した時も「何かあったら電話してきて」と言ってもらえ、とても心強かったです。  2年目からは病棟業務も始まり、消化器科や呼吸器科を経験しました。さらに3年目からは外来化学療法室での薬剤指導にも携わるように。なかには院外処方でしか採用していない薬もあるため、初めて触れる薬もあり、より知識を広げることができました。また医師の診察前などの限られた時間内に、ポイントを押さえてコンパクト、かつわかりやすく話さなければならないため、準備の大切さを改めて痛感しました。

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2021年取材記事
栄養と緩和ケアの両面からターミナル期の患者さんを支えられる薬剤師へ。
私のCAREER 8年目
次世代を担う薬剤師

患者さんや他職種と接する中で 着実にステップアップ

 経過を追って病態を知ることができることや、専門薬剤師にも興味があったことから病院を志望。診療科が揃う総合病院を5~6カ所見学した中で、一番自分が働いている姿をイメージできたことが決め手となり、当院に就職を決めました。  入職後はまず調剤の基本からしっかりと学び、1年目後半には病棟にも行くようになりました。がんと戦っている人、余命わずかな人など、さまざまな患者さんと接する中で、本に書いていることをそのまま話すのではなく、その人の状況を踏まえた上で、何を知りたいと思っているのか、相手の立場で考え、内容や言葉を吟味して話すことの大切さを学びました。  2年目には注射薬室で主に抗がん剤のミキシングと監査を担当。投与量や期間をチェックしたり、他職種からの副作用に関する問い合わせに対応したりする中で、着実に知識を増やしていきました。  3年目からはNST活動にも参加。例えば看護師の患者さんが薬を飲めているのか、自宅に帰っても安心して使えるかなどの観点や、医師の病態からの判断など、他職種と蜜にやり取りする中で、勉強になることが多かったですね。CT画像の見方なども教えてもらい、他職種の考え方や判断基準を知ったことで、より処方意図もわかるようになり、医師への提案や看護師への情報共有も円滑にできるようになりました。

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2016年取材記事
責任感と積極性を伴った行動で 皆から「頼られる薬剤師」を目指す。
私のCAREER 4年目
次世代を担う薬剤師

病棟に出たことで調剤の重要性を再確認

 調剤と病棟の業務をバランスよく、かつ幅広く学べる環境があることが、当センターへの入職を決めたポイントでした。  実際、2年目からは引き続き調剤にも携わりながら、病棟業務も担当。病棟に行くようになったことで、実際に患者さんや、投薬する看護師さんを頭に描きながら、調剤するように意識も変化しました。また、間接的ではありますが、患者さんの生命を左右するものだという責任の重大さを改めて認識。「薬剤師の基本は調剤である」という原点に立ち、常に知識やスキルをブラッシュアップしていかなければと気を引き締めています。  一方の病棟業務では、薬剤に関わる全ての人と情報共有することの重要性を痛感。まずはお互いに話せる環境づくりをと思い、「患者さんがこういうことに困っているようなのですが、どうしたらいいでしょうか」というように、周りのスタッフに積極的に相談することから始めました。そうするうちに、質問や相談を受けることも増え、一つひとつ真摯に対応することで信頼関係も生まれてきました。

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