パナソニック健康保険組合 松下記念病院

業種 病院
2016年取材記事
患者さんとその家族に寄り添う心と
高度な知識・技能とで
不安を少しでも取り除きたい。
薬剤部
薬学研究科修了 2010 年入社
私のCAREER
病院薬剤師

「少しでもがんをはじめとする病気に苦しむ人の力になりたい」「家族の不安をも軽減できる薬剤師になりたい」と、入職2年目から化学療法チームで活動しています。今後は、外来の患者さんへのケアを強化できる体制づくりにも尽力していきたいと思います。

7年のCAREER

  • 1年目

    薬剤師
    (院内調剤業務)

    調剤業務をメインに担当。大学院時代の調剤薬局でのアルバイトに比べて、扱う薬の種類も多い中で、先輩からのきめ細やかな指導を受け、病院薬剤師としての一歩を踏み出す

  • 2年目

    がん化学療法チームに
    所属

    学生時代から志していたがん化学療法の世界に足を踏み入れる。チーム医療の一員として、レジメン管理や患者さんへの服薬指導、抗がん剤の調製業務などを担当

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    ここがPOINT1

    ミスをして怒られることもありましたが、「怒られるうちが華」であり「期待の裏返し」でもあると考えて奮起。「次はしっかりやろう」と肝に銘じ、しっかりと復習することで、着実にステップアップしていくことができました。

  • 6年目

    がん薬物療法認定薬剤師取得のため
    研修施設へ

    がん薬物療法認定薬剤師取得に必要となる研修を受けるため、2015年9月から3カ月間、研修施設へ。資格取得などの成長を支援し、協力する体制・風土があるのも松下記念病院の魅力

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    ここがPOINT2

    それまで自分のやり方で合っているのか、常に不安がありましたが、研修施設で標準的な治療方法などを学ぶ中で、「間違っていなかった」と自信を持てるようになりました。同時に、まだまだ自身の知識が不足していることも痛感し、さらなる研鑽に向けた意欲が湧き上がりました。

化学療法チームで
レジメン管理に悪戦苦闘

 私の目標は、患者さんの気持ちや苦しみを理解し、寄り添う薬剤師になることです。
 入職1年目は院内調剤をメインとした業務に取り組みました。「少しでも早く調剤の現場に慣れたい」と、大学院時代から調剤薬局でアルバイトをしていたのですが、その時の経験を活かしながら、また先輩にきめ細やかに指導していただきながら、病院薬剤師としての一歩を踏み出しました。
 2年目からは、がん化学療法チームに所属。学生時代から志していたがん化学療法の世界に早くも踏み込むことになり、期待と不安の入り交じった気持ちでした。まず驚いたのは、「世の中にこんなに多くのレジメンが存在するのか」ということです。レジメンとは、抗がん剤や輸液、支持療法薬の投与に関する時系列的な計画書のことで、チームで様々な協議を行い、決定していくのですが、それぞれの医薬品の特性や、配合による変化など、検討すべき点が多岐にわたり、大学で学んだ知識だけではとても対応しきれません。最初のうちはミスを指摘され、怒られることもありましたが、「怒られるうちが華」と思い、間違えたところを復習して、次に臨むようにしました。先輩も「これも勉強だから、次からちゃんとやったらいいよ」と言ってくれ、余計に気合いが入りました。
 あと大学での勉強と大きく違うのは、当たり前ですが、目の前に患者さんがいるということです。本で副作用の症状などの解説を読むのと、実際に患者さんが訴えてくるのとでは、頭に入って来る情報量が全く違います。「何とかしてあげたい」の一心で、副作用を少しでも軽減できる方法がないか、いろいろと調べるようになり、知識量も格段にアップしていきました。
 そんなレジメン管理や、患者さんへの服薬指導、調製業務などに悪戦苦闘しているうちに、1~2年はあっという間に経ってしまいました。チームに所属して3年目に入ると、自分からも医師にいろいろと提案できるようになり、また医師から相談をされるなど、次第に信頼を得られるようになってきました。

患者さんの感謝の言葉を
支えに、自己研鑽の日々

 一方で、「自分の指導は本当に正しかったのか」「患者さんの不安をどこまで取り除くことができたのか」という不安が常につきまとい、自問自答することも多くありました。そんな時に、私の支えとなったのは、患者さんからいただいた「ありがとう」の言葉でした。なかでも、私が初めて担当した乳がんの患者さんが、「いつも来てくれてありがとう」と、退院の際に笑顔で言ってくれたことは今でも強く印象に残っています。患者さんが元気になって退院していく姿を見ることは、私にとって一番の喜びであり、やりがいです。
 また、そもそも私が薬剤師を目指すようになったきっかけは、父ががんで亡くなったことでした。「いつか自分が治す」との思いから薬剤師を志すも、父はそれを待たずして亡くなり、私には父を救えなかった自分の無力さへの苛立ちと、「自分のような人の力になってあげてほしい」という父の言葉とが、心に深く残りました。
 父や患者さんのことを思うたび、「患者さんの立場に立った薬剤指導」という原点に立ち返ることができました。そして「患者さんが抱いている不安は自分が想像している以上に大きい」ということを肝に銘じ、少しでも不安を取り除けるよう、きめ細やかな指導を心掛けるようにしました。

がん薬物療法認定薬剤師の
研修で迎えた転機に

 また、そんな時に転機となったのが、がん薬物療法認定薬剤師の資格を取得するために必要となる研修を受けるために、研修施設に行った時のことでした。3カ月にわたって病棟業務、抗がん剤注射薬混合調製、薬物血中濃度モニタリング、緩和ケアなど、一通りの実技研修を履修。その中で、自分が着実に成長していること、自分のしてきたことが間違いではなかったという確証を得られたことは、大きな自信につながりました。
 同時に、まだまだ未熟な部分があることも痛感。幅広い知識習得を目指し、さらなる研鑽を改めて心に誓う機会にもなりました。

がん領域にとどまらず
幅広い知識を養いたい

 現在もまた、外来を含めたがん患者さんの不安を少しでも取り除けるよう、高度な知識と技能を身に付けたいと、奮闘を続ける日々を送っています。
 特に、外来のがん患者さんへのケアはまだ十分とは言えない状況だと感じています。外来化学療法センターを核として、自宅に戻った患者さんが不安にならないように、薬剤師が外来の患者さんに対しても十分なケアができるよう、活動の場を広げて行くことが大切だと考えています。
 これからもがん領域に関連するカンファレンスに積極的に参加したり、英語の勉強も兼ねて英語で書かれた学術論文を読んだりするとともに、がん以外の領域にも知識の幅を広げていきたいと思います。例えば、糖尿病を併発するケースなど合併症を引き起こすことも多く、がん領域に深く踏み込めば踏み込むほど、総合的に広範に学ぶ重要性を痛感するのもまた事実です。
 患者さんに本当に寄り添う薬剤師になるためには、広範な知識と高い専門性の双方が必要であると認識し、広く深く学んでいきたいと思います。
 学生の皆さんにお勧めしたいのは、まず「自分はこの分野でこういう活躍をしたい」という具体的なイメージを持つこと。そうすることで、よりポイントを絞った職場選びができるようになると思います。

TO MY FUTURE

Myタイムカプセル

5・10年後の私

がん領域での専門性をよりいっそう高めるとともに、がん以外の領域の知識を蓄え、合併症などにも対応できる幅広い能力を身に付けたいと思います。また外来の患者さんに対しても、外来化学療法センターを核として、薬剤師の活動の場を広げ、患者さんとその家族の不安を少しでも取り除ける体制をつくっていきたいと思います。

新人時代の失敗

多額の損害を出し
何度も確認するように

抗がん剤の調製をミスして、何十万円もの薬剤を無駄にしてしまい、落ち込みました。そんな私に先輩は「これも勉強だから、次からしっかりやればいいよ」と言ってくれ、それまで以上にきっちりと確認するようになりました。厳しくも優しく導いてくれた先輩を見習って、今では私が先輩として後輩の育成に努めています。

これが成功の分岐点

患者さんにとって
薬剤師は自分一人しかいない

初めて担当したのが目が不自由な患者さんで、言葉だけで伝えるしかない中で、どう言えばわかりやすいか、言葉を選びながら一生懸命に話しかけました。退院される時に「別れるのが寂しい」と言われ、自分を頼りにしてくれていたことをうれしく思うとともに、「患者さんにとって、薬の相談ができる人は自分だけ」と、責任の重さも感じました。以来、このことを肝に銘じ、一人ひとりの患者さんに誠心誠意向き合うようにしています。

私流自分の磨き方

英語の論文を読み
知識向上と英語力強化へ

がん領域の英語論文を読み、知識を養うとともに、英語力の強化に努めています。今はまだ日本語でしか論文を作成したことはありませんが、いずれは英語で論文を発表し、広く世界に向けて発信できるようになりたいと考えています。

オフタイム

趣味はドライブと旅行。
鈴鹿でのF1は毎年、
観戦していますし、
夏休みには夫婦で
旅行を楽しんでいます。

現在の活躍のステージ

2016年10月にがん薬物療法認定薬剤師を無事取得することができました。その後は、入院・外来がん患者への服薬指導を継続し、後輩育成も行っています。
今年からがん専門薬剤師、外来がん治療認定薬剤師と共に力を合わせ、より安全で患者に安心できる薬物治療を提供できるよう日々研鑽しています。
また、がん領域以外の知識も養えるよう研修会に積極的に参加したり、継続して英論文を読み英語力の強化に励んでいます。

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